私は株のような金融投資のことはまったく分からない。
興味があるのはその動向によってオーストラリアがどうなるか、ということである。
賃金が高いとか、物価が高いとか、そういうことでいったい日本と比較した時オーストラリアはどうなっていくのだろうか、ということである。
『
東洋経済オンライン 2018年01月05日 上野 剛志 : ニッセイ基礎研究所
http://toyokeizai.net/articles/-/202898
2018年、豪ドル投資にチャンスは到来するか
日本人に根強い人気を誇る通貨を検証する
日本の個人投資家の間では、オーストラリアドル(以下、「豪ドル」と表記)が根強い人気を持っている。
人気の理由は何より「高金利通貨」であり、直感的に「儲かりやすい」というイメージがあるためだが、果たして本当にそうなのだろうか。
まず、豪ドルの魅力とリスクを把握し、豪ドルへ投資することの意味合いを確認してみよう。
豪ドルの魅力である金利の状況を見てみると、直近のオーストラリア(以下、「豪州」)の長期金利(10年国債利回り)は2.6%台と米国(2.4%台)を上回り、先進国の中では最高レベルにある。
日本銀行の大規模緩和によってほぼゼロ%に押し下げられた日本の長期金利とは比べるまでもない。
ブラジルやロシア、トルコといった新興国よりは低いものの、先進国ならではの「政治・社会情勢の安定」という強みもある。
■色あせる高金利の魅力
ただし、豪州の長期金利も過去から見ると大きく低下している。リーマンショック前の2008年5月には6.5%あったが、直近の水準はその半分にも満たず、2013年後半の4%台にも遠く及ばない。
このように、豪州の長期金利が大きく低下してきたのは、一言で言えば景気が減速したためだ。
豪州は言わずと知れた世界有数の資源国であり、同国の輸出のうち鉱物・燃料系が全体の6割を占める。
このように資源依存度が高い豪州経済は、2000年代に世界的な資源高騰の追い風を受けてきた。
しかし、その後中国経済の減速などを受けて資源価格が大きく下落したことが、交易条件悪化などを通じて景気の逆風となった。
物価にも低下圧力がかかり、中央銀行であるRBA(オーストラリア準備銀行)は2011年以降12回にわたってテコ入れのために利下げを繰り返した。
政策金利はこの間に3.25%も引き下げられ、長期金利の低下圧力になったというわけだ。
豪ドルに投資した場合の収益は、金利収入+為替損益で決まる。
そこで、次に豪ドルの対円レート(以下、「豪ドル円レート」)の動きを見てみよう。
豪ドル円レートは2012年にはおおむね1豪ドル=80円台であったが、2013~2014年にかけて円安豪ドル高に進み、100円の節目を突破する場面もあった。
ただし、当時は日銀の異次元緩和導入と追加緩和が実施された時期であり、円安の側面が強い。
実際、当時は資源価格の代表的な指数であるCRB指数が下落基調にあり、RBAも利下げを繰り返していた時期にあたり、豪ドルの対米ドルレートは一方的な豪ドル安となっていた。
その後、豪ドル円レートは円安圧力の一服などから75円まで円高豪ドル安に振れた後に底入れし、足元は87円台まで回復しているが、かつての100円超という水準からはいまだほど遠い。
■ボラティリティが大きいことに注意
このように、豪ドル円レートは大きく変動してきたわけだが、そのボラティリティ(振れやすさ)が相対的にも大きい点には注意が必要だ。
主要通貨の対円レートについて、直近10年間における月間騰落率の標準偏差(ばらつきを示す指標)を計算すると、豪ドルは主要先進国通貨の中では最も高い。
豪ドルは資源国通貨であるだけに変動の大きい資源価格との連動性が高いうえ、市場規模が小さいことからも変動が大きくなる。
さらに、豪ドルと円という通貨の組み合わせも変動を増幅する。
一般的に低金利通貨である円はリスク回避局面で買われる傾向が強い。
一方で、高金利通貨の豪ドルはリスク回避局面では金利が大きく低下するため、売られる傾向が強い。
また、リスク回避局面では資源価格が下落するため、売られやすいという面もある。
このことから、
リスク回避局面では円と豪ドルにまったく逆の力がかかるので、大幅な円高豪ドル安が発生する傾向がある。
つまり、豪ドルは、基本的に為替変動リスクが高い一方、
魅力である金利水準は大きく低下しており、従来よりもローリターン化している。
次に、過去に豪ドルへの投資を行っていた場合に、運用成績がどうなったのか。
一定の前提(注参照 )を置いて、2000年以降の年間収益率を計算してみた。
(注)年初に当時の為替レートで豪ドルに投資、1年固定金利(1年国債利回りを使用)で1年間運用した場合の年間収益率(金利収益+為替損益)を試算。
コストとして、金利に対する源泉分離課税20%(2013年以降は20.315%)を考慮しているが、為替差益(雑所得として総合課税扱い)や為替手数料は考慮していない。
2017年については、金利は1年分、為替は12月21日時点の値を使用
結果、18年間の年間収益率は単純平均で5.77%とかなりの高収益率となり、その内訳は金利収入の寄与度が3.35%、為替損益の寄与度が2.43%となった。
ただし、2013年以降の5年間に限ると、平均年間収益率は1.28%(うち金利収入寄与度は1.76%、為替損益寄与度がマイナス0.48%)に低下、赤字の年が2回発生するなど、パフォーマンスは大きく悪化している。
米ドルについて同様に試算した結果と比べても、近年は米ドルの年間収益率の方が高い年が多く、豪ドル投資はあまり報われてこなかった。
このため、豪ドルへ投資するにあたっては、為替の動向を捉えることの重要性が従来にも増して高まっていると言えよう。
■購買力平価でみると対円では下落方向
豪ドル円レートの動向を捉えるにあたり、まず、為替の長期的な方向性を考えるうえでは、購買力平価が重要になる。
購買力平価とは、物価上昇率が高い(低い)国の通貨は、低い(高い)国の通貨に対して長期的に下落(上昇)しやすいという為替決定理論だ。
なぜなら、物価が上昇(下落)するということは、その通貨の購買力を押し下げる(押し上げる)からだ。
購買力平価は起点をいつにするかで水準が変わるため幅を持ってみる必要があるが、豪州の物価上昇率は常に日本を上回っているため、購買力平価の考え方に基づけば、豪ドルは円に対して常に下落圧力がかかっている。
実際、長期のトレンドとして、1970年代から1990年代にかけては、購買力平価に沿う形で実際の為替レートも円高豪ドル安方向に推移してきた。
購買力平価はあくまで長期的な決定理論であって、必ずしも常に当てはまるわけではないが、豪ドルの高金利の裏には、相対的に高い物価上昇率があり、それは購買力平価の観点では豪ドル安に繋がるという点は念頭に置いておいた方がよい。
一方、豪ドル円に限らず、為替の短中期の方向性を考えるうえでは、各国の経済・物価・金融政策の動向が最大のポイントになる。
実際、2000年から2008年までは、上記の購買力平価が下落する中で、実際の豪ドル円レートは上昇してきた。
これは、資源ブームの追い風もあって豪州の経済が好調に推移し、RBAの段階的な利上げを受けて、投資マネーが豪ドルへと向かったためだ。
日本については、経済こそ堅調だが物価上昇率は目標である2%の半分にも満たず、今後も長らく2%から程遠い状況が続くだろう。
したがって、日銀の金融政策は小幅な調整こそあれ、少なくとも今後2~3年のうちに出口に向かうとは考えにくく、現行の金融緩和策が長期にわたって継続される可能性が高い。
そのため、豪州サイドの動向が今後の豪ドル円の行方を左右することになる。
■2018年後半か2019年には再び豪ドル高へ
最近の豪州経済を見ると、底固さはあるものの、力強さに欠ける状況にある。IMF(国際通貨基金)によれば、2017年の実質成長率は2.2%が見込まれているが、2000年代の平均である3.1%をかなり下回っている。
物価上昇率(トリム平均)も直近7~9月期で前年同期比1.8%と、RBAの目標下限である2%を下回り続けている。このことから、RBAは一年以上にわたって政策金利を過去最低の1.50%に据え置いており、今後もしばらく利上げを見通せる状況にはない。
ただし、2~3年先まで見据えれば、景気回復ペースの加速が見込まれる。
資源価格はいまだ過去に比べれば低水準だが、世界経済の回復を受けて既に底打ちしている。
今後も世界経済の回復は続くとみられ、資源価格下落による景気下押し圧力は緩和するだろう。
また、豪州経済の構造転換が進みつつある点もプラスに働く。
豪州経済は従来資源依存型であったが、
インバウンド消費や留学の受け入れといったサービス輸出が活発化している。
豪州は成長ペースが速いアジアとの距離が近い英語圏という強みがあり、今後も伸びが期待できる。
豪州経済が次第に勢いを取り戻すことで、雇用・所得環境の改善を通じて物価も持ち直し、いずれRBAは日銀よりも先に利上げに踏み切る可能性が高い。
したがって、しばらくは豪ドルの上値が重い展開が続くものの、2018年後半か2019年には再び円安豪ドル高に向かうと見ている。
既述のとおり、豪ドルは変動リスクが大きいうえ、長期的には購買力平価に伴う豪ドル安圧力に留意が必要だが、豪州経済回復に伴う利上げという豪ドル高圧力が勝り、
豪ドル投資が報われる局面がいずれ到来しそうだ。
』
『
8/9(木) 11:30配信 NNA
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180809-00000009-nna-asia
【オーストラリア】日本の豪観光市場割合横ばい、目標届かず
一方、対中国の同市場成長率は年20%増と好調だが、大半の訪問先はシドニーとメルボルンのみとなっているという。
NRMAは地方への観光客誘致で全体の底上げが必要だとしている。
8日付オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)が伝えた。
中国人向けのオーストラリア観光市場規模は全体の約9.5%だが、中国人の海外旅行客全体のうち、オーストラリアを訪問する観光客は1%に過ぎないという。
オーストラリア観光業界は、2020年までに海外観光客の市場規模を634億豪ドル(約5兆2,453億円)規模に拡大する方針。
現時点では、目標の40%の規模しか達成できていないという。
NRMAは、現状を打破するために、大都市だけでなく地方への観光誘致が鍵だとしている。
■デジタル標識が肝要
NRMAのランド最高経営責任者(CEO)は、地方部への外国人観光客を増やすためには、2030年までに、車に搭載の機器と通信可能なデジタル標識の導入や道路のスマート化を行うべきと主張している。
このほか、シャワーや充電施設、Wi―Fi(ワイファイ)網を設置した全国的な道路休憩所や、宿泊施設や遊歩道、ボート停泊所などを含む地方のインフラ向上、複雑な区画規制などの政策面での規制緩和の必要性を訴えた。
』
日本人がオーストラリアを旅行先に選ばない理由は一つしかない。
『物価が高すぎ!』
歴史の無い国なので自然しか見るものがないことはしかたがない。それに加えて、物価が高すぎなら、どう転んでもオーストラリアに足は向かない。
同じ金を出すならヨーロッパの方がはるかに濃厚な文化が堪能できる。
文化がないというのは住むには気楽でいいが、観光には向かない。
『
ダイヤモンドオンライン 2018.10.29
https://diamond.jp/articles/-/183566
キリンが「お荷物」の豪飲料事業売却へ、拙速海外展開のツケ精算
長年苦戦してきた豪食品事業からの撤退を決断。
M&A拡大の中、ため込んだ膿を出し切る。
まさに7年越しの決断である。
キリンホールディングス(HD)は、低迷が続いていた豪総合飲料子会社、ライオンの飲料事業の売却を決めた。
売却先や金額等は今後詰める。
そもそもキリンの海外事業のほころびは、ライオンの飲料事業のつまずきから始まった。
発端は2007年と08年に当時3780億円(負債込み)で豪1位と2位の乳業メーカーを買収したことだった。
この買収は当時計画していた、豪清涼飲料トップのコカ・コーラ・アマティルの買収をもって完成するパーツの一部だった。
乳業・果汁でシェアを固めて価格決定力を強め、コカ・コーラの販売網を利用し東南アジアにも拡販するというシナリオだった。
だが、コカ・コーラの買収が頓挫し、乳業事業は宙に浮いた。
ライオンは飲料事業で10年度にのれん代388億円を減損処理。
その後、赤字こそ出してはいないものの、計画値の下方修正が続き、17年度は売上高1534億円に対して営業利益はわずか54億円。
一方酒類事業は、1953億円の売上高で545億円の利益を稼いでおり、飲料事業は同社の“お荷物”となっていた。
近年では看板の加糖乳飲料商品でシェアを伸ばすなどの健闘もあったものの、豪大手スーパーのPB(プライベートブランド)に乳飲料市場全体の価格決定権を握られており、当初のもくろみは完全に外れていた。
■拙速な海外展開のツケ
キリンHDは2000年代中盤、食品業界の巨額M&A攻勢の先兵となってきた。
しかし、振り返ってみればその内容は拙速なものが多かった。
11年に約3000億円で買収したブラジルのスキンカリオール(ブラジルキリン)は、15年度には上場来初となる473億円の当期赤字の元凶となってしまった。
そもそもスキンカリオールは、圧倒的なシェアを持つ1位企業から大きく離された2位企業だった。
当時「かなり前にうちにも持ち込まれたが却下した」(ビール大手首脳)案件を、後から高値でつかんでしまった。
結局ブラジルキリンは17年に取得時の半値以下で売却するに至る。
だが、海外の課題事業を切ったキリンHDの業績は、幸いなことに回復基調にある。
ライオン酒類事業の好調で、17年度の海外事業の事業利益(のれん代等の償却前の営業利益)は、連結の33%以上に達した。
成長を海外に求めた一連の取り組みが、頓挫の経験も含めて“一周”した18年。
キリンHDは何を学び、何を次の成長の柱として狙うのか。
東南アジアで各社が狙っていた大型買収案件はほぼ売り先が決まり、“買い物リスト”の残りは少なくなっている。
前任社長2人の買収の後始末を終えた磯崎功典社長の次の一手が待たれる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)
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ダイヤモンドオンライン 2018.10.29
https://diamond.jp/articles/-/183566
キリンが「お荷物」の豪飲料事業売却へ、拙速海外展開のツケ精算
長年苦戦してきた豪食品事業からの撤退を決断。
M&A拡大の中、ため込んだ膿を出し切る。
まさに7年越しの決断である。
キリンホールディングス(HD)は、低迷が続いていた豪総合飲料子会社、ライオンの飲料事業の売却を決めた。
売却先や金額等は今後詰める。
そもそもキリンの海外事業のほころびは、ライオンの飲料事業のつまずきから始まった。
発端は2007年と08年に当時3780億円(負債込み)で豪1位と2位の乳業メーカーを買収したことだった。
この買収は当時計画していた、豪清涼飲料トップのコカ・コーラ・アマティルの買収をもって完成するパーツの一部だった。
乳業・果汁でシェアを固めて価格決定力を強め、コカ・コーラの販売網を利用し東南アジアにも拡販するというシナリオだった。
だが、コカ・コーラの買収が頓挫し、乳業事業は宙に浮いた。
ライオンは飲料事業で10年度にのれん代388億円を減損処理。
その後、赤字こそ出してはいないものの、計画値の下方修正が続き、17年度は売上高1534億円に対して営業利益はわずか54億円。
一方酒類事業は、1953億円の売上高で545億円の利益を稼いでおり、飲料事業は同社の“お荷物”となっていた。
近年では看板の加糖乳飲料商品でシェアを伸ばすなどの健闘もあったものの、豪大手スーパーのPB(プライベートブランド)に乳飲料市場全体の価格決定権を握られており、当初のもくろみは完全に外れていた。
■拙速な海外展開のツケ
キリンHDは2000年代中盤、食品業界の巨額M&A攻勢の先兵となってきた。
しかし、振り返ってみればその内容は拙速なものが多かった。
11年に約3000億円で買収したブラジルのスキンカリオール(ブラジルキリン)は、15年度には上場来初となる473億円の当期赤字の元凶となってしまった。
そもそもスキンカリオールは、圧倒的なシェアを持つ1位企業から大きく離された2位企業だった。
当時「かなり前にうちにも持ち込まれたが却下した」(ビール大手首脳)案件を、後から高値でつかんでしまった。
結局ブラジルキリンは17年に取得時の半値以下で売却するに至る。
だが、海外の課題事業を切ったキリンHDの業績は、幸いなことに回復基調にある。
ライオン酒類事業の好調で、17年度の海外事業の事業利益(のれん代等の償却前の営業利益)は、連結の33%以上に達した。
成長を海外に求めた一連の取り組みが、頓挫の経験も含めて“一周”した18年。
キリンHDは何を学び、何を次の成長の柱として狙うのか。
東南アジアで各社が狙っていた大型買収案件はほぼ売り先が決まり、“買い物リスト”の残りは少なくなっている。
前任社長2人の買収の後始末を終えた磯崎功典社長の次の一手が待たれる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)
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