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9/7(金) 15:03配信 ベースボールチャンネル 鄭仲嵐
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180907-00010006-baseballc-base
豪州プロ野球が驚きの台湾リーグ参戦
その理由に隠された両者の思惑とは?
オーストラリアのプロ野球リーグ(ABL)が5日、2019年より台湾プロ野球(CPBL)に参入することが決まった。
両リーグの合意の裏には、一体どのような思惑が隠されているのだろうか。
■豪州と台湾が電撃的な合意
オーストラリアのプロ野球リーグ(ABL)は5日、台湾・台北市内で記者会見を開き、来年から台湾プロ野球(CPBL)に参入することを決めた。
会見で提出した草案によると、まずは2年間の契約で、チームの7割はオーストラリア選手。
2年間は2軍で活動し、成果次第で2021年には正式に1軍に上がることも可能だという。
本拠地は、今後決定する見通しだ。
出席した台湾プロ野球の呉志揚・会長は、
「私たちはいま新しい球団がないという課題に直面している。
豪州からの提案はしっかり各常務理事と話し、一緒に考える」
と歓迎の様子。
さらに「豪州との連携は長く、お互いに信頼できる味方」と、来年CPBL設立30周年に合わせて、2軍で豪州のチームを見ることを望んでいる。
ABLのカム・ヴェイル(Cam Vale)最高経営責任者(CEO)は、
「過去の20カ月、我々は継続して台湾側と積極的に連絡し、今日の結果は本当にワクワクした。
これからもたくさんのことを話していきたい。
もちろん良い本拠地も真剣に考える」
と語る。
世界野球連盟のランキングを見れば、現在日本は2位、台湾は6位、そして豪州は8位。
順位に大きく差があるわけではないが、実際には人気・実力ともに大きな差がある。
とはいえ、豪州もこの10年で急速に力をつけ、2010年にプロ野球を再び設立。
米・メジャーリーグの人気に後を押される形で、国内でも徐々に関心が高まっている。
■なぜ台湾だったのか?
台湾を選択する理由について、ヴェイル氏はまず「台湾プロ野球がチーム数の増加を望んでいた」ことを挙げた。
そして「豪州と台湾の野球の長く連携を保っており、日本や韓国よりも親近感がある」とし、「去年から台湾側と連絡をとる中で、常に台湾野球の環境に興味を持っていた」と話した。
過去の八百長事件の影響もあり、いま台湾でプロ野球を経営したい企業は極めて少ない。
記者会見の冒頭で呉会長は、「台湾の20企業と長い交渉をしても、いまプロ野球に参入したい台湾企業は確かにありません」と実情を告白した。
もう1つの理由もある。
実は昨年、台湾のプロ野球選手7人が豪州のプロ野球チームに一時期に移籍していた。
そのほとんどが台湾で活躍していた1軍選手だ。
台湾のプロ野球選手が、シーズンオフに豪州で野球を続けることは、「1軍選手のウィンターリーグ」と呼ばれている。
この逆パターンだ。
南半球の豪州は台湾とは季節が正反対。
プロリーグの開催は11月から1月までであり、シーズンオフに台湾に参戦すれば、野球をする機会が増える。
WBCやプレミア12に向けた強化の狙いもあるのではないか。
台湾と豪州。
今後代表チームの強化を見据える両国の思惑が一致したのが今回の合意だったと思われる。
■経営上の難しさ、ルール上の問題点も
台湾では、プロ野球に参入したい場合、まずは「加盟権利金」を払わなければならない。
その額は1億2000万台湾ドル(およそ4.3億円)であり、
更に「地方振興金」でも7000万台湾ドル(2.5億円)が必要。
豪州のチームが参入する場合は、基本的にはこの2つの金額も必ず払うべきであり、呉会長は「これからは更にこの問題(金額)について豪州と蜜に議論していく」と話した。
ルール上の問題点もある。
それは、チームの中で「7割がオーストラリア人」ということだ。
そもそも台湾プロ野球はドラフト制度がある。
各チームの外国人選手は4人までしか登録できず、現実的には「1軍選手の7割がオーストラリア人」は不可能だ。
たとえ2軍からだとしても、リーグのルールは修正しなければならない。
万が一他球団の利益に影響する場合、豪州のチームが参入することも難しくなる。
最後は本拠地を選ぶこと。
ヴェイル氏は「他球団の本拠地とバッティングしない場所」と語る。
現在プロ野球がない都市は、首都の台北や南の都会・高雄が挙げられる。
しかし、高雄の澄清湖球場は過去にプロ野球球団が使ったことがあったが、収益は毎年赤字になったため球団側が諦めた過去がある。
現実的には、台北市内にある天母球場が最も可能性が高いのではないか。
■今後日本とも連携する可能性はあるのか?
記者会見で、筆者は「台湾だけではなく、これからも日本の独立リーグやプロ野球の3軍と連携しますか」と質問した。
ヴェイル氏は「いまは台湾プロ野球との連携を専念する」と断言。
さらに、「台湾の連携はもう十分であり、もしも他の国と連携する場合、逆にチームを組んで豪州リーグに参入してほしい」と話した。
昨年も「沖縄が台湾プロ野球に参入したい」という一部報道が流れた。
CPBLは現在4チームしかなく、リーグ活性化のためにはもっと新しいチームの力を借りなければならない。
一番の問題点は、やはり過去の八百長の影で、もう一度企業とファンの信頼を得ることが最優先事項だ。
そのためには、野球の教育環境やアマチュアの球場を設置することも必要だろう。
企業が台湾プロ野球に参入したがらないという事実が、この問題の核心であり、選択肢のない今、豪州との連携が「唯一の解決案」かもしれない。
当然懸念点もある。
経営を長く続ける統一ライオンズや兄弟エレファンツの関係者は、「2年間で上手く適応できなかった場合、すぐに撤退してしまうのではないか」と疑念を抱く。
同様の不安をファンも持っている。
呉会長は「これからも精一杯台湾の企業と交渉し、早くプロ野球に参入してもらいたい」と吐露する。
恐らくそれが本音のはずだ。
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