2018年2月25日日曜日

設楽悠太16年ぶり日本記録更新!:一億円ゲット!

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 これまで犬伏、藤田、高岡の3人が2時間06分台を出している。
 犬伏と高岡は海外レースなのでピンとこない。
 実際、我々は彼らのレースはゴールシーンのニュースでしか知らない。
 数字的データとしての記録に残っているだけである。
 日本最高記録の感激のない記録である。
 だが藤田敦史は福岡国際マラソンでタイムを出しているので、フルコースのテレビ中継があった。
 よってこの記録は映像とともに日本人にとっては圧倒的存在感がある。
 そのころオーストラリアにいたので、日本から録画のビデオテープでを送ってもらっていた。
 まだDVDではなかった。
 もちろん、インターネットもなかった。
 いまではユーチューブでお手軽に藤田のこのレースは見ることができる。
 果たしてこの感激を塗り替える日は来るのだろうか? 
と常々思っていた。
 
 そして昨年末、同じ福岡のコースで大迫傑が2時間07分台を出したとき、彼が藤田の記録を、そして日本最高記録をたたき出すトップランナーになると確信した。
 なにしろオレゴンのプロチームに所属して世界のトップクラスと切磋琢磨しているのだから、目標にもっとも近い距離にあるのは彼だと思ったのである。
 だが、大迫ではなかった。
 予想は覆いされるものなのである。
 その立役者は設楽悠太であった。
 彼の練習法は陸連スタイルに反旗する川内優輝のそれに近い。
 本番を数多く渡り歩いて、経験を磨いていく方法である。
 さて、アメリカ仕込みの大迫か、数多くの本番消化を目標にする設楽か?
 どちらにしても明らかに陸連スタイルではない。
 さて、東京オリンピック候補の竜虎がそろったようである。




https://www.youtube.com/watch?v=0NGvsVccswI
東京メトロスポーツスペシャル東京マラソン2018 - 180225




2/25(日) 11:17配信 日刊スポーツ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180225-00135308-nksports-spo

設楽悠太16年ぶり日本記録更新!
2時間6分11秒

 ハーフマラソン日本記録保持者の設楽悠太(26=ホンダ)が2時間6分11秒で2位に入り、日本記録を更新した。
 2002年に高岡寿成2時間6分16秒の日本記録を16年ぶりに突破した。

 前回大会8位の井上は序盤から積極的な走りで、先頭集団に付いた。
 設楽は井上大仁(25=MHPS)とともに30キロを1時間29分20秒と、日本記録を上回るペースで通過。
 31キロ付近で先頭集団から少し遅れたが、粘りの走りを披露した。

 38・3キロ付近で井上を逆転し、4位に浮上。
 前を行くディクソン・チュンバ(31=ケニア)、アモス・キプルト(25=ケニア)、ギデオン・キプケテル(25=ケニア)を追いかけた。
 39・7キロでキプケテルを抜き3位に、40・5キロでキプルトをかわして2位に上がり、最後の直線では笑みを浮かべ、両手でガッツポーズをつくりながらゴールした。

 レース直後、設楽は落ち着いた様子で「うれしいです。記録よりも勝つことを意識していました。僕も正直、タイムは狙っていなかったので」とほおを緩めた。

 31キロ付近で先頭集団から遅れ、一時は「負けると思った」と観念した。
 その苦しい中で、背中を押したのは沿道からの家族の声だったという。
 「(家族は)声で分かっていたので。最後まであきらめずに走ろうと思った」。
 前日の記者会見では目標タイムを2時間9分以内と定めていた。
 「目標を達成できてうれしい。
 2時間9分以内というのは6分台にも入れるという可能性も込めて」
と笑った。

 日本実業団連合は、日本新記録を出した選手に1億円の報奨金を出すマラソン強化プロジェクトをスタートさせており、これで見事にクリアして1億円もゲット
 沿道からは「1億円コール」もかかった。
 設楽は「最後まで、1億円取ってこいと声をかけていただいた方がいたので、しっかり頑張ることができた」。
 そして大きな仕事をやり遂げた男は「休みたい。3月はもう走りません」と話し、周囲の笑いを誘った。 

 優勝はチュンバで2時間5分30秒、
 井上は5位で日本人2位の2時間6分54秒
った。




●【設楽悠太!マラソン日本新記録!激走を振り返る】東京マラソン2018
2018/02/25 に公開



時事通信 2/26(月) 11:46配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180226-00000008-jijp-spo.view-000

日本記録更新で1億円=男子マラソン



 東京マラソンで男子の日本記録を16年ぶりに更新した設楽悠太(26)=ホンダ=が一夜明けた26日、東京都内で日本実業団陸上競技連合から1億円の報奨金を授与された。



日刊スポーツ [2018年2月26日7時55分 ]
https://www.nikkansports.com/sports/athletics/news/201802260000107.html?utm_source=headlines.yahoo.co.jp&utm_medium=referral&utm_campaign=20180226-00136336-nksports-spo

設楽悠太、常識覆す練習法で日本記録と1億ボーナス
<東京マラソン>◇25日◇東京都庁前~東京駅前(42・195キロ)

 平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)の閉幕日に20年東京五輪に向け吉報が届いた。
 ハーフマラソン日本記録保持者の設楽悠太(26=ホンダ)が2時間6分11秒の日本新記録を樹立した。
 自己ベストを3分近く縮め、02年に高岡寿成がつくった記録を16年ぶりに5秒更新。
 優勝したチュンバ(ケニア)に41秒遅れの2位でフィニッシュした。
 東京五輪の代表選考会グランドチャンピオンシップ(GC、19年秋以降)出場権を得て、日本実業団陸上連合から日本記録更新のボーナス1億円も贈られる。

 日本人1位を確信した設楽悠は、ゴールテープ前で人さし指を高く突き上げた。
 2時間6分11秒。
 「本当にきつかった」。
 フィニッシュ後に倒れ込んだのは初めて。
 「記録より勝ちたい」。
 16年ぶりに日本記録を塗り替えた勝負師は2日前の会見と同じセリフを繰り返し、ケロッとしていた。

 30キロ付近で先頭集団について行けず離され「もう負けたな」と心が折れかけた。
 36キロ手前の折り返し地点でトップとの差は16秒。
 支えは家族の応援だった。
 母悦子さん(53)の「まだ行ける!」の声にギアを上げた。
 38キロ付近でリオ五輪銀メダルのリレサ(エチオピア)、昨年日本人トップの井上を抜いて4番手。
 勝ちたい思いから、何度も後ろを振り返って確認した。

 キプケテル(ケニア)をかわして迎えた40キロの給水。
 家族が作った自分の似顔絵が描かれたタグをボトルから外し、右腕にくくり付けた。
 「LAST FIGHT」。
 タグに添えられたメッセージに力をもらい、直後にキプルト(ケニア)を抜いた。
 残り2・195キロ。沿道から「1億円だぞ」「日本新記録だ」と声援が飛び「励みになった」。
 タグのついた腕を大きく振り東京駅前を駆け抜けた。

 練習の常識を覆した。
 40キロを走り込んで試合に臨むのが通例だが
 「30キロしか走っていない。30キロ以降は気持ち次第」
と貫く。
 勝負勘を磨くため試合数も意識的に増やし、昨年は今回出場した招待選手最多の18レースに出場。
 「練習もしっかりでき、試合の雰囲気も味わっていたからこそ、この結果が出せた」。
 初マラソンの前回大会から1年、3度目のレースの終盤にアフリカ勢をまくって2位に食い込み、手応えをつかんだ。

 記録更新の報奨金は宝くじクラス。
 設楽悠は「1億円、ゲットできて素直にうれしい。
 豪快に使いたい」と喜ぶ一方、「あと1人だった…」と“銀メダル”の悔しさものぞかせた。
 GC出場権を得ても「東京五輪はまだ考えていない。目の前のレースを」と語り、マラソン初優勝を渇望した。
 平昌五輪はテレビ観戦し、スピードスケート高木菜那の金メダルの走りに興奮。
 「日本人で金メダル2つは素晴らしい。僕も負けられない」。
 20年夏、日本中を熱狂させるのは、この男かもしれない。【戸田月菜】

 ◆報奨金1億円 15年3月、日本実業団陸上連合はマラソンで日本新記録を樹立した選手に1億円を支給することを決めた。
 指導者、チームに5000万円のボーナスも支給。
 実業団選手に限らず、新記録を出した全選手が対象。
 破格の金額を設定することで、記録的に停滞した状況から抜け出し20年東京五輪での活躍につなげる狙い。



2/27(火) 6:02配信 デイリースポーツ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180227-00000027-dal-spo

設楽悠太 レース中に右足負傷していた 
激走の仰天裏側「10キロくらいから痛くて」

 東京マラソンから一夜明けた26日、16年ぶりの日本記録更新となる2時間6分11秒をマークして2位となった設楽悠太(26)=ホンダ=が都内で取材に応じ、レース序盤に右足を痛めていたことを明かした。

 この日は足を引きずり、疲労感を漂わせた。
 25日のレースは「10キロくらいから右のふくらはぎが痛くてすごくズキズキしていた」と告白。
 「踏み込むだけで痛くて。残り30キロは我慢して走った」
と激走の裏側を明かした。

 4月までは休養に充て、次戦は5月ゴールデンゲームズ(延岡)でトラックレースを走る見込み。
 また8月のアジア大会には出場せず、世界屈指の高速レースで知られる9月のベルリンマラソンに再挑戦する意向。
 「世界のトップ選手と走る経験を積みたい」と気合を入れた。


2/27(火) 11:50配信 webスポルティーバ 佐藤 俊
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180227-00010003-sportiva-spo

設楽悠太、大迫傑の激走で日本マラソン界は「オレ流」時代に突入か

 2時間06分11秒。
 設楽悠太(Honda)が東京マラソンで16年ぶりに日本記録を塗り替えた。
 スタートから先頭集団に入り、前半は1km2分58秒ペースで押した。
 20km地点では2位をキープして、日本記録を上回るペースが続いた。

 「30kmでペース走が離れてから勝負」
  レース前に設楽はそう語っていたが、その30kmから遅れ始めた。
 ディクソン・チュンバ(ケニア)ら外国人選手が急にペースを上げ、設楽はそのペースについていけず、置いていかれたのだ。

 通常は、ここで”勝負あった”となる。
 外国人選手たちのペースは変わらず、さらに前をいく井上大仁(ひろと/MHPS)は後半も粘り強く走ることができる選手。
 設楽自身も「負けた」と思ったというが、そう思うのも致し方ない展開だった。

 ところが、ここから驚異の粘りを見せる。
 32kmで両親の応援の声を聞き、36kmの折り返しで気持ちを切り替えた設楽は38km地点で井上をとらえ、5位に上がった。
 まるでそれまで死んだふりをしていたとしか思えないような勢いある走りを見せたのだ。
 「井上くんの表情を見たら、まだ大丈夫そうでついてくるかなって思ったんですが、離れていったので、このままいけば日本人トップ、記録もついてくるかなと思った」

 39km地点で3位に上がった。
 40km地点では1時間59分31秒のタイムを確認した。
 40.54kmでついに2位に上がり、必死に前を追った。
 沿道からは応援とともに「(日本記録更新で)1億円だぞ、がんばれ!」という声をかけられ、それも励みになった。

 だが、一番勇気づけられたのは、給水ポイントで家族が作ってくれた給水ボトルに書かれたメッセージだった。
 「ラストファイト!」
 そのメッセージを右腕に付け、前を追った。
 日本記録は42km地点、2時間05分40秒を切ったぐらいのタイムがボードで見えた時、意識した。
 そこから母校、東洋大のキャッチフレーズ「1秒を絞り出せ」の如く、腕を振り、歯を食いしばって走った。

 ゴールの瞬間は記録突破を確信して、右手をあげてガッツポーズをした。
 そのまま競技人生で初めて地面に倒れ伏した。

 レース後も疲労が大きく、足にもダメージが残っているのだろう、片足を引きずるようにして歩いていた。
 これこそ全力を出し切って42.195kmを走った証(あかし)だった。

 こうして、ついに日本マラソン界の頂点に立った設楽だが、その強さと記録達成には3つのポイントがある。

1」:ひとつは独自の練習方法だ。
 楽の練習は「40kmは走らない。30km走で十分です」と言うように、マラソン練習にありがちな40kmを何本も走るというオーソドックスなスタイルではない。
 実戦重視で、この東京マラソン前にも3本のレースに出ていた。
 試合でレース感覚を養い、タフに走れる体と足を作り、さらにレースからいろんなことを学ぶ。
 川内優輝のやり方にも通じる、試合こそが最高のトレーニングの場という感覚だ。
 実際、設楽は東京マラソン後も「勝負するところ、抑えるところ、仕掛けるところは今回、勉強になりました」と、成果を語っている。

 マラソンをいかに速く走るか──。
 そのメソッドは大迫傑(すぐる)のスタイルが独特なように現在では多様化し、どれが正解かわからない状態だ。
 だが、設楽が実戦重視スタイルで日本記録を出したことで、その方法論は今後より注目されることになるだろう。

2」:ふたつめは東京マラソンに向けての準備が周到になされていたことだ。
 設楽は今レース前に1月20日、都道府県駅伝(13km・区間賞)を走り、2月4日に丸亀ハーフ(21.0975km・2位日本人トップ)、2月11日に唐津10マイル(16km・優勝)と3本のレースを走っていた。

 立て続けに走ることで体に刺激が入り、週1本のポイント練習のような感覚になってうまく調整できた。
 しかも実戦ゆえに本番に向けて試合勘が磨かれる。
 30km地点で置かれた時、「無理せず、あえてついていこうとしなかった」と冷静に対応できたのも、レース数をこなしたことで冷静に展開が読めたからだろう。

3」:3つめは、気持ちの強さだ。
 設楽自身が「マラソンで30km以降は気持ちです」というように、今回のレースはそれを体現してくれた。
 もともと「日本人に負けるつもりはない。勝ちにこだわっていました」といった負けん気の強さがある。
 そうなるには実績(結果)の裏付けが必要になるが、先述の3本のレースはいずれも日本人トップ、もしくは優勝で、昨年の9月以降、日本人に負けていない

 42km付近では日本記録が更新できるかどうかのギリギリだった。
 そこで懸命に足を前に出して力を出し切り、最後に倒れながらも日本記録を破ったのは気持ちの強さがあったからに他ならない。

 設楽はレース前日、平昌五輪でスピードスケートの高木菜那がマススタートで金メダルを獲ったレースを見ていたという。
 「興奮して見ていました。日本人で金メダル2つはすばらしいですし、競技は違いますけど、僕も競技で結果を残していきたいと思います」

 2年後の東京五輪に向けて、この記録は「マラソン、悲願のメダル獲得」に向けて大きな一歩になるだろう。
 また、日本の長距離界にとっても大きな一撃になった。

 短距離界は昨年、桐生祥秀が9秒98を出したことで、さらに活気づいた。
 長らく低調だった長距離界は昨年、福岡国際マラソンで大迫が2時間7分台を出して日本記録更新への機運が高まり、今回、設楽が日本記録を塗り替えた。
 それに引っ張られるように井上も2時間6分54秒を出して、2時間8分台には日本人選手が4名並んだ。
 これからさらにタイムが伸びそうな雰囲気が漂う。
 この日の設楽の「2時間06分11秒」は、長距離界に大きなうねりを起こしたのである。



3/4(日) 11:00配信 デイリースポーツ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180304-00000045-dal-spo

“新人類”設楽悠太の特異な魅力

 42・195キロの攻略法は十人十色で、自身の“思想”を体現するには最高の舞台だ。
  先日行われた東京マラソンでそう思った。
 独自の方法論と特異なキャラクターを持つ26歳の設楽悠太(ホンダ)が2時間6分11秒でゴールテープを切り、日本記録を16年ぶりに更新。報道陣からも、自然と拍手が湧き起こった。

 マラソン初挑戦だった昨年の東京マラソンでは、日本勢で唯一前半から海外のトップ選手を追ったが、後半に失速。
 しかし、今回もめげずに前半から先頭集団でアフリカ勢を追うと、30キロ以降は1度遅れたが、終盤に再びギアを上げて2位に食い込んだ。
 「タイムは気にせずに勝ちだけを意識すれば、記録もついてくる」。
 宣言通りの無欲の快走が、16年間止まっていた時計を動かした。

 「30キロ以降は気持ちの問題」。
 ニューヒーローは大会前から繰り返し主張した。
 マラソン練習では40キロの距離走を行うのが定石だが、設楽は30キロ以上は走らないトレーニング論を堅持している。
 「僕はマラソンだからと言って40キロを走る必要はないと思っている。
 『今の若い日本選手は走り込みが足りない』とよく言われるが、今はそういう時代じゃない。
 いいシューズを選び、効率よく練習をすることが結果を出す近道」。
 ひょうひょうとした語り口とは裏腹に、確かな信念を感じさせた。

 「新人類、と言ったらいいのかな」。
 日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(61)は、従来とは異なる価値観を持った若者を意味する1980年代の流行語を用いて設楽を称賛した。
 「(前半から)あまり先を考えないでペース配分するが、(後半への)恐れを表に出さないのがすごい」と積極的なレース運びをたたえ、独自のキャラクターや方法論についても
 「僕らには計り知れない、オーソドックスとは違う考え方の人。
 僕に持ってないものを持っているし、型にはめちゃいけない。それが彼の強み」
と太鼓判を押した。

 また、設楽の好調の要因の1つには「厚底シューズ」がある。
 軽さを求めた底の薄いシューズが主流だが、最近はメーカーから底の厚いシューズも生まれ、設楽も昨夏から導入した。
 「最初は考えられなかった。これで走るのかと」。
 ためらいもあったそうだが、履いてみると自身の走りにピタリとハマる。

 昨年9月にはハーフマラソンで日本記録を樹立し、以降も試合で日本選手には誰にも負けていない。
 「効率よく走れてスピードも全く落ちない。
 トラック(1万メートル)でも27分40秒台を出せる。
 昔の靴だと蹴らないと前に進まないが、今のシューズは履くだけで前に進む感じがする。
 疲労感も全然違って、毎週ハーフマラソンを走れるくらいのシューズ。
 今はあの靴がないと走れないくらい」。
 鬼に金棒ならぬ“設楽に厚底”が快挙の原動力となった。

 川内優輝ばりの連戦調整も“オレ流”の理由がある。
 年明けからは全日本実業団駅伝、都道府県対抗駅伝、丸亀国際ハーフ、唐津10マイルと、東京マラソン2週間前まで毎週のように試合に出場してきたが、「土日に試合がないとサボっちゃう」。
 練習のない週末は、昼まで寝てしまう。
 また、甘い物が好きで、ビールなどの酒類や炭酸ジュースも大好きだが、試合があるから摂生できる。
 「結果を残せているのは土日に試合に出ているから。
 マラソンの1週間、2週間前も試合に出て『すごいな』と言われるが、僕はそれが普通だと思っている」

 距離走、シューズ、連戦調整-。
 我が道を行く“設楽流”への懐疑的な見方は、「2時間6分11秒」というタイムが吹っ飛ばした。

 前日本記録保持者の高岡寿成氏(47)も、自身の記録を破った26歳に拍手を送った1人だ。
 「トレーニングは個性に合わせることが大事。
 彼が結果を出したならそれが正しいと言えるのでは」。
 設楽の特異なキャラクターについても、「見えない部分がある選手。そこが彼の面白さであり、魅力だと思う」とエールを送った。

 マラソン界の新人類はどこまでもつかみ所がない。
 40キロ過ぎからはなぜか給水ボトルのカバーを右腕に装着してそのままゴールテープを切った。
 「家族が僕のために手作りしてくれたもの。
 “ラスト、ファイト”と書いてあった。1番の力になった」。
 一見クールに見えて、家族愛を大切にする熱い一面を見せた。

 快挙からの一夜明け会見では足を引きずって登場したが、そのことを報道陣に聞かれると「10キロくらいで右足ふくらはぎを痛めていた」と告白。
 それを翌日まで明かさなかったことについて、「足について聞かれなかったので言わなかっただけ」と、あっけらかんと笑みを浮かべた。

 社会の発展には「多様性」を認めることが不可欠だが、競技の発展にも同じことが言えるかもしれない。
 血と汗と涙がにじむような“スポ根”も尊い文化の1つだが、設楽のような“脱力系”の感覚派や、合理主義者がいてもいい。
 東京五輪男子マラソン期待の星である、大迫傑(26)=ナイキ・オレゴンプロジェクト=も独自のトレーニング哲学を持っていることでおなじみだ。

 箱根駅伝を4連覇した青学大の原晋監督(50)も提唱しているように、多様な個性、方法論の忌憚(きたん)のないぶつかり合いが、長距離界全体の進歩につながるのではないか。
(デイリースポーツ・藤川資野)


iZaイザ! 2018.3.2 20:25
https://www.iza.ne.jp/kiji/sports/news/180302/spo18030220250043-n1.html?utm_source=yahoo%20news%20feed&utm_medium=referral&utm_campaign=related_link

マラソン日本新記録での報奨金1億円に税金かかる? 
金メダルの高木菜那は…

 巨額の報奨金が飛び交っている。

 平昌冬季五輪スピードスケート女子で金メダル2個を獲得した高木菜那(25)=日本電産サンキョー=に対し、親会社の日本電産(京都市)が2月28日、報奨金4000万円を授与することを明かした。
  日本オリンピック委員会(JOC)と日本スケート連盟からもそれぞれ1000万円が贈られ、合計は6000万円となる。

 一方、東京マラソン(25日)で2時間6分11秒の日本新記録を樹立した設楽悠太(26)=ホンダ。
 26日に日本実業団陸上連合から1億円の目録を授与された。

 気になるのは税金だ。
 JOC、加盟各競技団体からの報奨金(金メダル500万円、銀200万円、銅100万円)は非課税。
 それ以外の団体や契約スポンサーからの報奨金は課税される。

 高木の場合は4000万円には課税され、2000万はされない。
 設楽の場合、日本実業団陸上連合はJOCとは関係ないため、1億円にはそのまま税金がかかる。

 税額はいくらか。
 京阪総合会計事務所代表の税理士、疋田英司氏によると、設楽の1億円は一時所得として扱われる。
 諸条件によるが、所得税額は1億円から特別控除(50万円)を引き、それを1/2にして、税率(45%)を掛けた2238万7500円となる。
 さらに住民税が497万5000円となり、合わせると2736万2500円。
 手取りは7263万7500円となる。

 高木の4000万円にも同様に課税されることになり、税額は約1200万円(税率は40%)。

 ちなみに
 「マラソンの日本記録を破った場合、同一選手が報奨金1億円を受け取れるのは1年に1度だけ。
 設楽選手は今年度末の3月31日までは記録を更新しても報奨金は受け取れません。
 しかし、4月1日以降に新記録を出した場合は、また1億円を受け取れます。
 他の選手が新記録を出した場合は1億円が支払われます」(同連合)

 設楽は4月まで休養して5月から復帰する予定。
 今後も小刻みに更新して稼ぎたいところ。
 同連合の報奨制度は20年3月までだ。



3/6(火) 11:00配信 NEWS ポストセブン ※週刊ポスト2018年3月16日号
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180306-00000010-pseven-spo

ナイキやNB参入 
マラソン五輪シューズ戦争の熾烈な争い

 16年ぶりの日本最高記録更新に沸く男子マラソン界。
  東京五輪日本代表を決める2019年秋のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に先駆け、選手たちの“足元”では熾烈な争いが始まっている。

  2月25日の東京マラソンで、マラソン挑戦からわずか1年の設楽悠太(Honda)が2時間6分11秒と日本記録を更新。
 日本人トップ(全体2位)でゴールした。
 住友電工陸上競技部監督の渡辺康幸氏は快走の理由の1つとして、「走り方」を挙げた。

 「設楽君は終盤まで、『フォアフット走法』を崩しませんでした。
 アフリカ出身の選手に特有の走り方で、前傾姿勢を保ったまま足のつま先から接地します。
 そして足裏中央まで地面についたところで跳ねずに前に進むという、スプリントのような走り方で、力のロスが少なくて済む。
 体の作りが違う日本選手がこの走法を42km維持するのは困難で、ほとんどの選手がかかとから着地をしている。
 ただ設楽君のような特別な素質のある走者は、早くからこの走法を身につけています」

 東洋大のエースとして箱根駅伝連覇に貢献し、将来を期待されてきた天才の“開花”とともに注目されているのが、その走りを足元で支える「新シューズ」の存在だ。
 設楽が履いていたのは『ナイキズーム ヴェイパーフライ4%(VF4%)』。
 男子マラソン2時間切りを目指す米ナイキのプロジェクト「ブレイキング2」のために開発され、昨年12月の福岡国際マラソンで2時間7分19秒を叩き出した大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)もこの靴を履いて結果を出している。

 早稲田大学時代の大迫を監督として指導した渡辺氏はこう続ける。
 「VF4%はかかと周りのソールがこれまでになく厚い。
 脚へのダメージも少なく、回復も早いから効率よく試合と練習を繰り返せるメリットもある。
 フォアフットの強みを最大限に引き出せるのです」

◆黒船・ナイキvs伝統のアシックス

 日本の長距離界ではこれまで、軽量で反発力の強い薄いソールの靴が主流だった。
 箱根駅伝で4連覇を達成した青学大もアディダスと専属契約(昨年3月まで)していた「最強の靴職人」こと三村仁司氏監修の薄底シューズで揃えていた。
 三村氏のシューズは高橋尚子、野口みずきが五輪金メダルを獲得した際に使用したものとして知られている。
 走法も足裏中央で接地する「ミッドフット着地」が理想とされてきた。

 ところが“厚底”のVF4%の登場で、新たな“必勝走法”が生まれつつある。
 ただし、前出・渡辺氏は「VF4%を履けば誰でも早く走れるほど甘くはない」とクギを刺す。
 「フォアフット走法で42kmを走り切る身体能力を持つのは設楽君や大迫君のほか、ほんの一握りの選手だけ。
 導入するには、地面からの衝撃を受け止めるために臀部や腿の後ろの筋力強化など、徹底的に肉体改造に取り組む必要もある」

 実際に今回の東京マラソンでサブ10(2時間10分切り)を成し遂げた日本人ランナー9人のうち、VF4%を履いていたのは設楽と山本憲二(全体9位・マツダ)の2人のみ。
 いずれもナイキとユニフォーム契約を結ぶ東洋大のOBだ。

 一方、38km地点で設楽に抜かれるまで日本人首位を守り通した井上大仁(5位・MHPS)、昨年の青学大エースの一色恭志(13位・GMOアスリーツ)ら3人がアシックスの薄底シューズ。
 同社も、「選手ごとに適した靴を選んでいただいているが、創業以来、安全性とパフォーマンスの二軸はぶれません」(広報チーム)と“厚底には負けない”という自信をのぞかせる。
 また日本人3位の木滑良(7位・MHPS)、佐藤悠基(10位・日清食品グループ)、村澤明伸(14位・同)の3人はミズノだった。

◆あの「山の神」は……

 サブ10こそ逃したものの、2度目のマラソン挑戦で2時間10分18秒を出した三代目「山の神」こと神野大地(コニカミノルタ)は、ニューバランス(NB)。
 青学大時代にサポートを受けていた前出・三村氏が今年1月から専属アドバイザー契約を交わしたメーカーで、三村氏監修の薄底靴で代表権争いに挑戦することになりそうだ。
 渡辺氏もその選択は間違っていないという。
 「どちらかといえば立った姿勢でかかとから着地する神野君の場合、VF4%は適していない」

 五輪代表の最終選考は来年9月以降。「厚底」対「薄底」の決戦はどちらに軍配が上がるのか。
 「大迫君、設楽君の実力が頭一つ出ていると思うが、最終選考は夏の五輪を意識した環境で行なわれます。
 最高気温が30度前後まで上がれば、“暑さとの戦い”も勝負のカギとなる。全員にチャンスがある」(渡辺氏)

 代表選手の“足元”を支えるのはどのメーカーになるのか。





Record china配信日時:2018年2月26日(月) 16時20分
http://www.recordchina.co.jp/b574622-s0-c50.html

東京マラソンで日本選手がアジア記録を更新!
片や中国は…―中国メディア

 2018年2月25日、騰訊網は、第12回東京マラソンで日本の設楽悠太が日本人歴代最高記録を出したことを紹介し、「今の中国マラソン界はアジアのトップレベルに遠く及ばない」と伝えた。

 25日に行われた第12回東京マラソンで、設楽は2時間6分11秒のタイムで2位に入り、02年に高岡寿成がシカゴマラソンで出した2時間6分16秒の日本記録を更新した。
 記事は「これはアジア記録でもある」とし、
 「近年アジアの好成績はほぼ日本人選手が出している状態で、中国は07年以降10年以上もアジアのトップ5に入れておらず、2時間10分の壁を破れていない」
とした。

 そして、 現在の世界最高記録がケニアのデメス・キメットが14年のベルリンマラソンで出した2時間2分57秒、日本記録が2時間6分11秒であるのに対し、
 ★:中国の歴代最高が07年10月の北京マラソンで任雲龍(レン・ユンロン)が出した2時間8分15秒に留まっていること、昨年の成績を見ても日本人選手が2時間7分19秒を記録したのに対し、中国人選手は2時間13分40秒が最高だったことを伝えている。

 記事によると、中国の男子マラソン界は、胡剛軍(フー・ガンジュン)、孟憲輝(マン・シエンフイ)が1993年から95年にかけて北京マラソンで中国人選手3連覇を達成するなど、90年代に強い時代もあったという。
 しかし、現在では中国の最高記録はアジアの26位だ。

 記事は
 「日本の男子選手がアジア記録を塗り替えたのを見て、中国の同業者たちはより大きな緊張感を持つべきだ。
 マラソンの分野において、われわれは世界トップレベルと争うなどと言ってはいけない。
 アジアの中でも、第一線のレベルとは非常に大きな差をつけられているのだから」
と評した。



サーチナニュース 2018-02-27 16:12
http://news.searchina.net/id/1654257?page=1

日本が憎たらしくとも敬服せざるを得ない! 
それだけ東京マラソンはすごい=中国メディア

 2月25日に東京マラソンが開催された。 
 近年は中国でも人びとの健康意識が高まっており、市民ランナーも増えていることから各地でマラソン大会が開催されているが、中国人ランナーたちにとって東京マラソンはぜひとも参加してみたい大会であると同時に、さまざまな点で「敬服させられる」大会なのだという。

 香港メディアの鳳凰網はこのほど、過去の東京マラソンに参加した中国人ランナーの見解として、
 東京マラソンは「参加してこそ、その凄さを実感でき、参加してこそ中国のマラソン大会がいかに国際レベルからかけ離れているかがわかる」
と論じる記事を掲載した。

 記事は、東京マラソンは「ワールドマラソンメジャーズ」に数えられる世界的な大会であることを指摘しつつ、ワールドマラソンメジャーズに加入したのは2013年と、ワールドマラソンメジャーズのなかでもっとも「若い大会」であるにも関わらず、今や世界で高い評価を得ている大会の1つになったと指摘。 
 そして、高い評価を支えている存在の1つが運営面の質であるとし、現場のボランティアは非常によく訓練されているうえ、参加ランナーは荷物を預けて実際に走り出すまで、「混雑によるストレスを一切感じずに済む」と紹介したほか、3万人以上のランナーがいるにもかかわらず、スタート地点は非常に静かで、「その静けさには恐怖感すら感じるほど」だと論じた。

 また、これだけ多くのランナーが参加するとなると、給水やトイレが問題になりがちだが、東京マラソンでは給水所が数多く設置されているうえに紙コップが投げ捨てられたまま放置されることもなく、トイレも1キロメートルあたりに2ー3カ所は設置されていて、走っている最中に頭をあげればトイレの標識がすぐ目に入るよう配慮されていると紹介。
 しかも、コースからトイレに向かう道で迷うことのないよう、ボランティアがわかりやすく誘導してくれるのは感動的であるとした。

 さらに記事は、沿道で応援してくれる人びと、ゴール地点に設置された足湯、トイレ内に完備されたトイレットペーパーなどの存在も指摘したうえで、東京マラソンは「粗さがしをしようとしても、批判できる点が見つからない」と伝え、「東京マラソンに参加すれば、歴史問題を理由にどれだけ日本が憎たらしくとも、尊敬の念が生じ、敬服せざるを得ない気持ちになるはずだ」と論じている。




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